訪問看護では、看護師が利用者の自宅を訪問し、その場で状態を把握しながら必要なケアを考えます。病院とは異なり、すぐ近くに医師や経験豊富な看護師がいるとは限りません。限られた情報の中で、「この変化は経過をみてよいのか」「主治医への報告が必要なのか」「すぐに対応すべき状態なのか」と判断しなければならない場面も少なくありません。
特に、訪問看護の経験が浅い看護師にとって、利用者の状態を的確に捉え、得られた情報を統合して判断することは簡単ではありません。バイタルサインの数値だけでなく、表情や会話、食事や排泄の状況、普段との違い、家族から得られる情報など、生活の中にあるさまざまな情報を組み合わせて考える必要があるからです。
そこで現在、私たちは訪問看護師のアセスメントを遠隔から支援するプラットフォーム「NPEN」のシステム構築に取り組んでいます。
NPENが目指しているもの
NPENは、訪問先にいる看護師と、離れた場所にいる経験豊富な看護師等をICTでつなぎ、利用者の状態を一緒に確認しながらアセスメントを支援する仕組みです。
ここで重視しているのは、単に「答えを教える」システムにしないことです。
訪問先の看護師が「何を観察したのか」「そこから何を考えたのか」「どの情報が不足しているのか」を整理し、遠隔支援者とのやり取りを通して自分の判断を深めていく。そのプロセスそのものを支援することを考えています。
たとえば、「いつもより呼吸が少し速い」という情報があった場合、それだけで判断するのではなく、SpO₂、呼吸音、体温、意識状態、活動時の変化、既往歴、普段の状態との違いなど、次に確認すべき情報があります。遠隔支援者が問いかけながら、訪問看護師自身が必要な観察に気づき、情報を集め、判断につなげられる仕組みを目指しています。
