私たちが考える「訪問看護師が安心して活用できるAI支援システム」って、どんなものだろう。
研究を進めながら、最近よく考えています。
訪問看護では、看護師が一人で利用者さんのお宅を訪問し、その場で状態をみて、話を聞いて、いつもとの違いを感じ取りながら判断しています。「このまま様子をみていいのか」「主治医に連絡したほうがいいのか」「もう少し確認しておくことはないか」。病院のように、すぐ隣に相談できる人がいるとは限りません。
そんなとき、AIが答えを出してくれればいいのかというと、私たちは少し違うと考えています。
AIに「こうしてください」と指示されるのではなく、「この情報も確認してみては?」「前回と比べてここが変わっています」と、看護師が考えるための材料をそっと出してくれる。迷ったときには経験豊富な看護師や他職種につながることができる。訪問が終わったあとには、その日の判断を振り返ることもできる。
そんな使い方ができたらいいなと思っています。
訪問看護師が持っている、利用者さんのちょっとした表情の変化への気づきや、「今日は何となくいつもと違う」という感覚までAIに置き換える必要はありません。むしろ、そうした看護師の気づきを起点に、必要な情報を整理したり、判断を支えたりするところにAIを使いたい。
もう一つ気になっているのは、AIを使うことで仕事が増えてしまわないことです。新しいシステムを導入したのに、入力項目が増え、記録にも時間がかかる。それでは現場ではなかなか使ってもらえません。できるだけ普段の訪問看護の流れを変えずに、必要なときに必要な支援が入る仕組みにしたいと思っています。
これまで取り組んできたNPENでは、訪問看護師のアセスメントを遠隔から支援する仕組みを考えてきました。次の研究では、そこを土台にしながら、アセスメントだけではなく、日々の看護実践や記録、情報共有、学習なども含めて、訪問看護をもう少し広く支える仕組みを考えていきます。
研究テーマは「訪問看護を包括的に支えるオールインクルーシブ型AI支援システムの開発」。
「オールインクルーシブ」と言うと少し大きなテーマに聞こえますが、まずは訪問看護師さんが現場で「これなら使いたい」と思えるものは何なのか、そこから考えていきたいと思っています。
