つぶやき その7

2024年8月

「訪問看護師のアセスメントを支援する遠隔支援プラットフォームNPENシステムの構築」に関する調査を開始しています。

訪問看護師さんを対象に、遠隔支援プラットフォームN to P with EN(以下NPEN)システムを構築のための第一次調査(訪問看護師が療養者のご自宅で必要と考える情報とアプリケーション)を実施ました。

研究目的は、訪問看護師が考える遠隔支援プラットフォームに搭載する機能(訪問看護において必要とする循環器疾患のある療養者の過去の情報やNPENに搭載したらよい思うアプリケーション)を明らかにするです。

結果ついては現在まとめているところです。

つぶやき その6

2023年7月にカナダ(モントリオール)でICN2023に参加してきました。

そこでは、訪問看護師さんを支援する「AIによるフィジカルアセスメントトレーナーPhysical Glassesの開発」について報告してきました。

詳細は情報発信でご確認ください

つぶやき その5

6月末に北海道札幌へ飛びました。

10月9日〜10日に開催される日本看護技術学会第19回学術集会のキーセッションの撮影のためにです。このキーセッションのテーマは「看取りの美学」で、札幌麻酔クリニックの副院長の金谷潤子先生の講演です。

 在宅医の金谷潤子先生の語る「看取りの美学」を縦糸とするならば、長年にわたり、ケアマネージャーおよび訪問看護師として多くの経験を持つ佐々木詩子先生の語りは横糸であったと思う。在宅医と訪問看護師がそれぞれの立場で、また異なる土地でのケアの語りではあるが、美しい織物を紡ぐような対談であったと感じた。金谷潤子先生の語りの中には、医療の対象者を「疾患を持つ人」として捉えるのではなく、「生活者」として捉え、日常生活の中で在宅医療が行われるという考え方が述べられ、それはまさしく、これからの看護教育が目指す「地域・在宅看護」の対象者の捉え方と共通するものであった。この内容は、金谷先生が、話題の提供をしているという「はっぴーえんど」(魚戸おさむ)の内容とも重なる。そもそも「人の死」というものの捉え方が自然なのである。「ゆっくり枯れていくように」死を迎え、下顎呼吸を、「産まれてくるとき産道を無我夢中で通り、この世に生まれてくる」ことと同じように、「あの世で生まれるために無我夢中で息継ぎをしている状態」と表現している。「死は特別なものではない、いつも日常にある、尊い区切りである」とFacebookで述べられていた。金谷先生の死生観の表現かもしれない。「誰も経験したことのないあの世」ではあるが、この表現に私自身を含め多くの人は救われ、納得するのではないかと感じた。

 また、「聴覚」についての話題も印象的である。療養者さんは最期の瞬間まで「聴覚」が機能していることや、生活の中で発生する音は、決して療養者にとって耳障りなものではなく、家族の話し声、テレビの音、洗い物をする音、足音、そして時には子どもの泣き声さえも、「生」を無意識に感じることができる心地良い音であるということが、金谷先生と佐々木先生から語られた。時には、具体的な療養者さんの言葉などを交えながら、あっという間の60分間であった。

 二人の語りは心地よく、語りを通して調和が創り出された時間であった。できればもう少しその場で調和された時間を過ごしたいと強く感じた。  後日談として、札幌から暑い暑い名古屋に戻り、コロナウィルス のワクチン2回目を摂取した私は、高熱に苦しんでいました。その時に、金谷先生から紹介されて、「はっぴーえんど」の作者である魚戸おさむ先生とお友達になることができました。とても気さくな先生で、どんどんPRに使ってもらって良いですよと、許可をいただきました。

はっぴーえんど ー新型コロナ編ー

日本看護技術学会第19回学術集会 交流セッションのご案内

日本看護技術学会第19回学術集会において、開発中のphysical glassesについて下記のような交流セッションを行います。

実際に開発されたものを公開して、皆様と意見交換をしたいと考えています。

 交流セッションテーマ:地域在宅看護を支援するphysical glasses の開発

我が国の超高齢化は類をみないほど著しく、2025年問題が示すように今後も高齢者は増加します。厚生労働省は、高齢者の尊厳保持と自立生活支援の目的のもと、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生最期まで続けることが可能な包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)構築を推進しています。訪問看護アクションプラン2025では、2025年にむけ訪問看護の量的拡大、機能拡大、質の向上および地域包括ケアへの対応を掲げています。重症化・多様化・複雑化した在宅療養者の看護には、適切な状態把握と判断が必須であり、高度なフィジカルアセスメント能力が求められると考えます。高度なフィジカルアセスメント能力の獲得こそ、訪問看護の機能拡大、質の向上、地域包括ケアへの対応を可能とすると考えています。

そこで、私たちは「AIによるフィジカルアセスメントトレーナーPhysical Glassesの開発」を試みました。いくつかの訪問看護ステーションで試行を繰り返しています。交流セッションにおいては、Physical Glassesを紹介しつつ、看護において「人間にしかできないこと」と「 (AIなどを活用しながら)  人間以外でできること」を主に意見交換をしたいと考えております。ぜひたくさんの皆様のご参加をお待ちしております。

つぶやき その4

あっという間に2月です。2月14日はバレンタインデーでしたが、看護学生さんにとっては大切な第110回看護師国家試験でした。前夜には東北から広い範囲での地震もあり、COVID-19対策を強いられた状況に、一部の学生にとっては地震という大変な状況においての試験になってしまいました。多くの看護学生さんが、実力を発揮できたことを祈るばかりです。

 さて、2月に研究代表者の篠崎惠美子とメンバーの藤井徹也が執筆した「事例から学ぶ 地域・在宅看護論~訪問時のお作法から実習のポイントまで~」が医学書院から出版されました。看護学生を対象にしたものですが、訪問看護師さんにも読んでいただける内容にしたつもりです。ご一読いただき、感想などのコメントをいただけたら嬉しいです。

事例から学ぶ 地域・在宅看護論~訪問時のお作法から実習のポイントまで~

つぶやき その3

 2021年になりました。いつもと違う新年の迎え方でしたが、皆さんはいかがお過ごしでしたでしょうか?


 さて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により医療現場の状況は厳しい状態になっています。私たちの勤務する大学にも、厚生労働省から逼迫する医療現場への派遣要請もきました。文部科学省からも、学事を優先しながら、可能であれば無理のない範囲で協力をしてほしいという通知がきました。ある報道番組では、附属病院へ大学教員が派遣され、支援していることが報道されていました。また看護学生の厳しい現状なども朝の番組で放映されたようです。


私たちができることは何かを考えています。
 

 年末に開催予定としていた研修会は残念ながら中止いたしました。そこで、できる形で現場の看護師さんたちの支援をしたいと考えています。
 遠隔での研修の企画なども今後進めて行く予定です。遠隔での研修には限界もありますが、もし、遠隔での研修をご希望される施設があれば、ぜひともお知らせください。

海外のCOVID-19に関する論文をいくつか紹介します。

SARS-CoV-2, SARS-CoV, and MERS-CoV viral load dynamics, duration of virals hedding, and infectiousness: a systematic review and meta-analysis
 COVID-19による排菌への注意期間について述べられています。
上気道感染、下気道感染、排泄物(便等)による感染で、20日間程度気を付ける必要がありるようです。

Physical distancing interventions and incidence of coronavirus disease 2019: natural experiment in 149 countries
COVID-19のphysical distencing における効果の評価が待望のBMJから出ました。
Incidence rate ratios (罹患率:新たな感染率)を使って149の国々で比較評価をしています。実データを使用して、介入を分析しています(タイムシリーズが使用されています)

つぶやき その2

 皆さんは聴診器を使いこなせていますか?

 ウィリアム・オスラーは「あなたが観察し学ばなければならないことは、自分の目で見聞き、そして心で感じること」と述べています。

 訪問看護の現場で、医療機器を使うことは困難です。しかし、フィジカルイグザミネーションは、簡単な道具でいつでもどこでも情報収集が可能となります。中でも聴診器は多くの看護師が必ず使用している道具ではないでしょうか。

今回は、その聴診器について、つぶやきです。

 紀元前380年、ヒポクラテスは、患者の胸に直接耳をあて、体の音を聞き、健康かどうかを判断したと言われています。「人の健康状態によって身体の中の音に少し違いがある」ということに気がついていたのです。その後長い期間、医師は患者の胸に耳を当てて、情報を集めいていました。19世紀に入り、ルネ・ラエンネックは女性患者が、医師が胸に耳を当てることを恥ずかしく思っていることを知り、聴診器の原型となるものを開発しました。これが、聴診器の始まりです。紀元前から19世紀までの長い時間、聴診器がなく、直接胸に耳を当てていたという事実を知り、今の時代に生まれてよかったと考えるのは私だけでしょうか。最初の聴診器は、筒状の簡単な仕様でした。日本には1848年にオットー・モーニッケ(出島商館医・自然科学調査官)が、オランダ通詞の吉雄圭斎に与えたものが日本初の聴診器だといわれています。1851年には現在の聴診器と近い形のY型チューブの両耳型聴診器が発明されました。現在では、録音機能を備えた電子聴診器などもあり、進化しています。私が臨床で看護師をしていた頃は、よく医師に、「聴診器はアクセサリーではない!ちゃんと使いこなしなさい」と言われたものです。訪問看護において、聴診器を療養者さんに使うだけでも、安心される場合もあるようです。聴診器を使いこなすことで、より良い情報を収集することができます。是非とも使いこなしたいものですね。

「フローレンス・ナイチンゲールと感染症」

 テレビをつけると新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のニュースが毎日のように報道されています。これを書いている今日は本来なら、東京オリンピックの開会式がテレビで実況中継されていたのでしょう。大変な時代がやってきたものです。

 学生は試験終了後、夏休みを楽しみにしていたことでしょう。もしかしたら、短期留学を計画していた学生もいるでしょう。長期休暇中にアルバイトをしようと思っていた学生もいることかと思います。特に大学1年生にとっては、大学生として初めての夏休みなのです。それがアルバイトの自粛・感染拡大地域への移動の自粛など「自粛」という言葉が合言葉のように「新しい生活」をしなくてはいけなくなりました。学生時代に様々なことを経験して、感性を磨いて欲しいと思っていますが、残念です。ちなみに小学生の夏の風物詩のような「ラジオ体操」も今年は取りやめになっています。

 今年はフローレンス・ナイチンゲールの生誕200年という記念すべき年です。ナイチンゲールは「感染は防止できる」と述べています。自然治癒力に働きかけることや、環境を整えることの大切さを看護覚書で伝えています。もしかしたら、ナイチンゲールが看護の本質を再度確認しましょうと、警鐘を鳴らしているのかもしれません。

 地域・在宅において生活する療養者さんの看護を提供する訪問看護師の皆さんにとっても、日頃から大切にしているケアの意味を再確認することができるかもしれません。もう一度看護覚書を読んでみてはいかがでしょうか。

ナイチンゲール博物館(ロンドン)に展示されているランプ